特にコレという原因がないのに、ある日突然肩に激痛が走り腕を上がらなくなった・・・このような症状は特に50代の方に多く、一度発症すると1~2年近く痛みと付き合わなければならなくなることがあります。
普段何気なく腕を動かしたり高い位置にあるものをとるために腕を上げたりしていますが、実はこの動作、もの凄く複雑な筋肉の運動連鎖が起こっているのです。腕を上げるだけでも、肩の筋肉だけでなく、首や肩 甲骨・背中など様々な筋肉がお互いをサポートし合って働いています。本来、お互いにサポートし合う筋肉ですが、何らかの要因でサポートできなくなりそれを積み重ねていくと、いわゆる五十肩・四十肩と呼ばれている症状を発症してしまいます。
今回は、筋肉同士のサポートを阻害する要因の一つでもある”猫背”が原因の五十肩について解説します。
猫背が原因で五十肩に!?
一般的に言われている”猫背”になると、なぜ五十肩になりやすいのか?というところですが、猫背になると、
肩関節内で炎症を引き起こすため。
肩甲骨を内側からコントロールする筋肉が引っ張られてしまい、筋肉本来の機能が正常に機能しなくなります。腕を上げる時に背中の筋肉が動かなくなるので、肩を動かせるための筋肉と肩甲骨の運動連鎖が上手くいかなくなります。筋肉が正常に機能していないので、放っておくと日に日に負担が積み重なり肩関節内で炎症を引き起こし五十肩になります。
スマホ操作で姿勢が悪くなり、肩周辺の筋肉が硬くなりやすいため。
巻き肩になり肩関節の運動に関係する筋肉が固まってしまいます。巻き型になると、大胸筋や小胸筋などの胸と肩の筋肉が硬くなってしまいます。最近では”スマホ巻き肩”と呼ばれているのですが、スマホを使う姿勢が悪く肩が前方向に巻き込まれます。日本人のスマホの平均使用時間は下記の図のようになっていますが、だいたいの人が1日1~3時間ほど使っているという調査結果(株式会社日本マーケティングリサーチ機構調べ)が出ていて、それだけの時間スマホ操作をしているので姿勢が悪くなり肩周辺の筋肉が硬くなりやすいです。
スマホをよく操作する方は、使用時間が短い人と比べると五十肩や四十肩が発症するリスクが高くなる可能性があります。便利な機器ですが、それだけ病気の可能性も大いにあるので要注意ですね。
首が前に倒れるため鎖骨による肩関節のコントロールが利きにくくなります。猫背になるとなぜ首が前に出るのかというと、首に余計な負担がかからずラクな姿勢だからというのと体の重心位置が前に出るので姿勢保持がラクになるんです。首が前に出ることで姿勢維持はラクだけど、鎖骨が動きにくくなるので 腕を動かしにくくなってしまいます。
鎖骨が動きにくくなると、首の筋肉に『広頚筋』というアゴから鎖骨にかけて付着している筋肉が硬くなります。そうすると、鎖骨が上方向に向けて回転します。その回転が持続的に行われているので肩には余計な負担がかかってしまいます。
鎖骨に関する豆知識
一般の肩には鎖骨の存在理由がわからない!という方が多いので簡単に説明すると『肩関節の広い可動域確保に必要』『骨折することが多い』という2つの特徴があります。余談ですが、この広頚筋が硬くなることでフェイスラインのタルミなどの美容の問題も発生しやすくなります。
猫背を解消するためには!?
猫背が原因で発症する五十肩について簡単に説明しましたが、ではどうすれば猫背を解消できるのか?という疑問を持たれた方がいらっしゃると思います。では、猫背を解消するための立ち姿勢について解説します。猫背になってしまう人の立ち姿勢には特徴があり、猫背姿勢の人の約8割近い方が立っている時に
- 体重がつま先に乗っている
- 体重が左右どちらかに乗っていてバランスが悪い
という特徴があります。これは利き足と軸足というのがあるので、自然とそうなってしまいがちなのですが、できるだけそういった要因を排除できれば猫背になるのを予防できます。
猫背を予防できれば本当に辛い、五十肩のリスクを最小限に抑えることも可能です。それを踏まえた上で、猫背予防の立ち姿勢の解説をします。
立ち姿勢改善法
- まずはペンを3本用意してください(割り箸などでも可能)
- 次に、まっすぐに立つ(いつもの立ち姿勢)
- 立った時に自分の立ち方の癖を感じてみましょう。(体重がつま先に乗っているか? 左右どちらに乗っているのか? を何となくでもいいので感じてください。)
これを知ることで普段からの意識付けができるようになります。 - 右外くるぶしの外、うちくるぶし、左外くるぶしのペンを置いて、それぞれが線で結ばれるようにまっすぐに置いてください。
- かかと側に重心がくるように立ちます。ペンより前に重心が来ないように意識します。1分~2分その状態を保ってください。
まとめ
猫背の姿勢だと、姿勢保持がすごくラクだと思います。しかしラクをした分、必ず後からしっぺ返しがきます。その代表として『五十肩・四十肩』 という形で発症し最悪の場合、手術や夜眠れないくらいの痛みに襲われる可能性があります。
最悪の事態を向かえないように、痛みが出ていない今のうちに猫背を解消して五十肩・四十肩の予防をしてください。また、すでに五十肩や四十肩になってしまっている方は、猫背を解消する事で治りが良くなりますので実践してみてください。
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